労働安全衛生教育に取り組む、中央大学第二演劇研究会に所属する学生のみなさんに、インタビューをさせていただきました。
今回お話を伺った学生のみなさんは、自分たちが所属する演劇研究会での活動を通じて、労働安全衛生教育の必要性を実感しており、研究会として安全をどう確保するか課題を抱えていました。
労働安全衛生教育の必要性を感じたきっかけやLaKeel Online Media Serviceを使ってみた感想について率直なお話を聞くことができましたのでご紹介いたします。
 

INDEX

 


 
お話を伺った方

左から

・野村さん(文学部人文社会学科日本史学専攻4年)

・師岡さん(文学部人文社会学科哲学専攻3年)

・田中さん(法学部法律学科3年)

・牧さん(法学部法律学科3年)

労働安全衛生教育の必要性を感じたきっかけ

—— はじめに、中央大学第二演劇研究会について教えてください。

師岡さん:
私たち中央大学第二演劇研究会は、約50年前に創設され長い歴史があり、伝統を受け継ぎながら現在に至っています。活動内容は、演劇の上演に加えて、脚本の執筆や演出、舞台装置の製作など、舞台裏から舞台上まで様々な業務があり、そのあらゆる役割は、部員を4年間かけて固定するわけではないので幅広い経験を積むことができる特徴的な研究会です。活動は年間を通して行われており、公演に向けた練習や制作活動に日々取り組んでいます。現在の所属人数は約60人で、異なる学部や学年のメンバーが在籍しており、新しいメンバーを迎え入れながら、創作の面白さを共有し、絆を深め活動中です。

 
—— 所属部員数が多い大きな研究会ですね。なぜ、労働安全衛生教育の必要性を感じたのでしょうか。何かきっかけはあったのでしょうか。

師岡さん:
きっかけはヒヤリハットの発生だと思います。
私たちは普段、舞台製作に必要な道具を使用したり、舞台装置を設置したりする作業を行うのですが、中には危険を伴う作業もあります。例えば、照明を設置する際に脚立を利用した高所作業や、舞台道具を製作する際の、丸ノコ、グラインダー作業などがそれにあたります。
その様な作業を行っていく中で、『危ない!』と思う瞬間が時々発生し、その都度、部ではどうしたら危険な作業から部員の安全を確保できるか、議論してきました。

 
—— 具体的に『危ない!』と思った場面はありますか?

野村さん:
演劇の上演を行うにあたり、小劇場にて作業を行うことがあります。実際の現場における危険を伴う作業には、照明や舞台装置を設置する際の脚立を使用した高所作業が挙げられます。高所作業を行う時に、作業場所が狭く、一斉に作業を行う関係で、衣装や小道具など他のセクションの部員も同じ場所で作業することがあるため、安全を確保する難しさを感じることが多いですね。
また、完全な分業制ではないため、他のセクションの部員にも照明に関する脚立での作業をフォローしてもらうことがあるのですが、その場合、頼んだ部員にとって、初めての脚立作業になる場合があります。天板には登らない、脚立の下を通らない、作業時はヘルメットを被るなど、基本的なルールを知らない部員が多く、『危ない!』と思うことがよくありました。

 

—— 実際の活動の中で、危険に感じる作業があることが良くわかりました。そこから、どうして労働安全衛生教育を実施することを決めたのですか?安全を確保するための解決策に教育を選択したことに、感心したのですが。

師岡さん:
実は、労働安全衛生教育に行き着く前には、ヘルメットやハーネスなどの安全用品を購入することも考えましたが、60人分の安全用品を買うコスト面や、保管場所、管理方法などの問題もあり、そのアイディアは一瞬でボツになりました。

いくら道具を手に入れても、それを使用する部員一人ひとりが正しい知識を身に付けないことには、何も変わらないという議論になり、安全性を向上させるには教育する場を設けないといけないという結論に辿り着きました。私が部員全員の前で、『危険な作業から安全を確保するために、教育の場を設けます』と宣言したことが、労働安全の教育について具体的に考えるようになったきっかけですかね。

 
—— 有言実行が素晴らしいですね!その後、どのような教育を実施しようと考え、行動したのですか?

師岡さん:
まず、脚立での作業やグラインダー、丸ノコなどの利用方法についての資料を作ろうと思い、WEBサイトや本などで情報取集をしたのですが、自分の力不足もあり、資料を完成することができず、困っていました。
 
野村さん:
私も一度、劇団における安全確保の方法について調べたことがあるのですが、図書館でプロの劇団員が見るような演劇の文献の中に、舞台に関する安全な作業方法についての記載を読んだことがあります。ただ、内容が高度過ぎて、大学生には合わない内容でした。実際調べてみると、意外と参考にできる資料が少ないことがわかるので、師岡さんの資料作りはかなり難しいものだったと思います。

 

安全教育における教材作りの難しさ

—— 企業で働く労働安全の担当でさえも、教材作成に苦労されていることが多いので、大学生のみなさんにとっては、とても難しいことだったと容易に想像できます。

師岡さん:
資料が作れずに困っていた時、たまたま、LaKeel Online Media Service存在を知り、一度資料を見てみたいと思ったことがきっかけで、問い合わせをさせていただきました。

 
—— なるほど。見つけてくださりありがとうございます。長い歴史がある研究会ですので、これまで幾度となくヒヤリハットが発生し、多くの先輩方も、安全について議論されてきたのだと思うのですが、危険を回避するためのノウハウなどは受け継がれてきていないのでしょうか?

野村さん:
学生の自治サークルなので、自分たちで自主的にやらなければ、ノウハウも中々溜まっていきません。閉鎖的な側面もあるため、外部のテコ入れもほとんどない環境ですし。実際に作業をやっていく中で、口頭で先輩から教わり、僕らも同様に後輩に教えていくという伝承を繰り返しているだけですので。

後輩に教えていく中ですごく感じることがあります。それは、両手で汲んだ水を、次の人の両手に受け渡すようなことを教育でも毎年やっているということです。どこかで蛇口から水を補充しないと、どんどん水が減るのと一緒で、基本的な知識をどこかの段階で補充しないと、教育のノウハウがどんどんこぼれ落ちてしまうのではないかと。
そういう意味では、LaKeel Online Media Serviceの動画を見ることができる環境を引き継いでいければ、こぼれ落ちていくこともなく、アップデートされていくので、ぜひ今後も視聴させていただけると嬉しいです。

 

LaKeel Online Media Serviceを利用した感想

—— では、実際LaKeel Online Media Serviceを使ってみて、いかがでしたか?

師岡さん:
絵での説明の説得力もそうですが、自分で調べても気づけなかった内容もあったので、自分ではこの教材は作れないなと思いました。出典に信ぴょう性もあるので、安心感がありますね。

野村さん:
世の中には情報が溢れているので、教材を選ぶ上で情報の取捨選択が大事です。その上で、LaKeel Online Media Serviceは信頼ができ、コンパクトにまとまっているので、学びやすい教材だと思っています。プロの劇団に向けた教育教材は探せばあるのかもしれませんが、その知識を専門書から知識を身に付けようとしても、大学生の自分達にとって関連する内容はわずかなので、LaKeel Online Media Serviceを使って、自分たちに関係する動画テーマを部員に展開できることはとても便利だと感じました。

 
—— 師岡さんと野村さんは、どちらかというと管理者側の視点での感想に近いのですが、受講する側として牧さんと田中さんは、どんな印象を持ちましたか?

牧さん:
動画を使った教育と聞いた時、過去の経験から1本1テーマで30分から1時間程度の動画の長さを想定していました。そして、情報の内容が濃く、情報量が多い教材をイメージしていたので、『よし、見るぞ』と気持ちを切り替えて見ようとしたのですが、実際LaKeel Online Media Serviceを見てみると数分の動画で、見たい情報が数分のコンパクトな教材になっていて学びやすいという印象を持ちました。それでいて内容が詰まっているので勉強になりました。実際30分の動画は長く感じ、集中力も切れてしまうこともあるので、これくらいの長さは見やすかったです。
 
田中さん:
間抜けな顔をした登場人物がとても面白く、わかりやすい内容だと思いました。言葉だけだとわかりにくい部分もイラストで表現されているので、理解がしやすいのだと思います。イラストでなければできない表現もあり、面白いので、やっぱり見ちゃいますよね。グラインダーの回転の速さを、新幹線で例えていたのは面白かったです。
学校の授業でもパワーポイントなどを使う先生も多いので、資料や映像を見ながら講義を受けることには慣れていますし、今は少ないですが、100分間ずっとしゃべり続けている先生の授業はわかりにくいと学生が評価することと同じだと思います。

 
—— 学習をした後、自分自身の行動に変化はありましたか?

田中さん:
丸ノコのキックバックについての動画を見て学んだのですが、3年間活動をしていて、知らないことがほとんどでした。そのため、自分が後輩に作業を教える時も、知識がない状態で教えていたので、どこに力を加えたら上手くいくのか、逆にどんな状態が危ないのかを今後は知識を持って後輩に教えられると思っています。これまでは、自身の経験でしか教えてあげられなかったので、絶対に役立つなと。

師岡さん:
基本的な道具の使い方やルールを知ることで、キックバックの原理もそうですが、これまで疑問に思っていたことや、なぜその事象が起きたのか知るきっかけになったので、より知識が身に付き、行動が変わるのではないかなと感じています。次回作業するときには、動画の内容から学んだことを特に注意しようと思っています。

 
—— 大学生の視点で見た時に、LaKeel Online Media Serviceの改善点はありますか?

野村さん:
イラストのアニメーションで、短くわかりやすい内容で動画を制作していると思うのですが、それにプラスしてより詳しく知りたい方向けに、教科書のような文章での体系的な解説があると、より学びやすいかなと感じましたね。

田中さん:
YouTubeのような『いいね』機能はあるといいですね。『いいね』が多い方が面白かったり、役立ったりするのだと自分は思うので、役に立ったランキングや動画の評価が可視化されるのは良いと思います。『いいね』が多いと少し見てみようかと思うかもしれないですね。

師岡さん:
動画の中では、一瞬しか触れないことも、自分たちにとっては、何よりも重要で意識して欲しい内容ってあると思うので、その企業や管理者ごとで、動画にコメントを残せたらよいと思います。『ここの動画では、こう解説しているけど、自分たちの現場では…』といった具合に、補足できたら最高ですね。場合によっては、管理者と受講者双方のコミュニケーションツールになると感じました。

田中さん:
わからないことや疑問に思ったことを、管理者にコメントで聞けるのはいいですね。

 
—— SNS上でコメントを残すことには抵抗はないですか?

田中さん:
人それぞれだとは思いますが、閉ざされたSNS上でコメントすることは全く抵抗ないですね。

野村さん:
動画のコメント機能による、コミュニケーションの活性化は良さそうですね。
全員が見られる場所で情報の共有ができるので賛成です。

師岡さん:
YouTubeなどを見ていても、動画を見ながらコメントを見るのは普通のことですのでコメント機能はいいですね。

田中さん:
自分なら知り合いがコメントを書いていたら、絶対読むと思います!

 
—— それ以外で何か改善できそうなことや感想などはありますか?

牧さん:
あまりに短い動画は、勉強したい人にとっては物足りなさを感じるので、今の2-3分の情報量はとても良い長さだと思いました。今はYouTubeの倍速視聴やTikTokなど短いコンテンツが消費されている時代ですが、教育動画は消費されるコンテンツではないと思うので、それなりに学習意欲を持って見る必要があると私は思っています。見ることが目的ではなく、知識を身に付けることが目的だと思いますので。動画の最後に出てくる『話し合いコーナー』もいいなと思いました。

野村さん:
見るコンテンツによりますが、今の大学生にとって、動画の倍速視聴は当たり前のようにやっていることだと思います。自分は情報を取得する時には倍速で視聴し、コンテンツを楽しみたいときは、等速で視聴することがありますが、2-3分の教育動画は情報取得になるので、再生速度を上げて見るかもしれません。ただ、最後の『話し合いコーナー』があることで、フィードバックができるので、学びを振り返るために、必要な時間だと感じていますし、上手く活用したいですね。

牧さん:
動画一覧にあった、振り返りのためのフラッシュクイズ動画も、繰り返し勉強したい時に役立つので、私だったら活用すると思います。

野村さん:
教育対象者の行動を変えるには知識を身に付ける必要があり、そのためにはクイズ動画を見る時間や、話し合いをする場など、管理者側も積極的に働きかける必要がありますね。部員が自主的に動画を見て勉強してくれればいいのですが、学ぶ意欲がない部員も沢山いるため、活用の工夫が必要だと話をしていて思ったので、活用の仕方について今後議論していきたいですね。

師岡さん:
僕らがいくら働きかけても意味がないこともありそうなので、いかにみんなが学んでくれるかが課題になりそうです。よい教材やシステムがあっても、上手く使って運用しないと効果が出ないので、全員の意識が変わるように色々工夫し、部で話しながら、安全教育に取り組んでいこうと思います。

—— 沢山のフィードバックをいただきありがとうございます。これから社会で活躍していく若い人たちの新鮮な視点でのお話をお伺いでき、大きな気づきがいくつもありました。これからのコンテンツ制作やユーザビリティの向上に役立てていきたいと思います。

ぜひ、LaKeel Online Media Serviceも活用しながら、安全を確保し充実した演劇活動をしていってください。本日は貴重なお時間をいただきありがとうございました。

お問い合わせはこちら