株式会社ADEKA(以下、ADEKA)では、国内5工場およびグループ会社を含む約1,800名を対象に、動画配信型教育サービス「LaKeel Online Media Service(以下、LOM)」を導入しました。「安全の原理原則」をいかにして現場の隅々まで浸透させていくのか。環境・安全対策本部 環境保安・品質保証部 部長 廣田 潔宣様、課長 平野 富也様に、導入の経緯と今後の展望を伺いました。
INDEX

お話を伺った方
左から
環境・安全対策本部 環境保安・品質保証部 部長 廣田 潔宣様
環境・安全対策本部 課長 平野 富也様
1. ADEKAの事業内容と「4つの安全」への姿勢
――まず、ADEKAの事業内容と、廣田様・平野様のご所属部署の役割について教えてください。

廣田氏:
ADEKAは樹脂添加剤や半導体材料といった化学品から、食用油脂などの食品まで、幅広い産業分野を支える素材メーカーです。私たちの所属する環境・安全対策本部では、「労働安全」、「環境安全」、「品質安全」、「設備安全」の4つを融合させた『4つの安全』を軸に活動しています。特に「品質安全」は、品質保証と製品安全を融合させた当社独自の用語です。部署としては、これら4つの安全が全社、ひいてはグローバルで守られているかを監視・統制するミッションを担っています。監査や定期的なミーティングを通じて、BCP(事業継続計画)や保安防災も含めた幅広い領域を統括しています。
2. 課題:従来の机上教育の限界と、自社制作を阻む「メンテナンス」の壁
――LOMの導入前には、どのような教育課題があったのでしょうか?
平野氏:
LOM導入の直接的なきっかけは、国内のある工場で労働災害が継続して発生したことでした。その工場では、机上でパワーポイントを使って教育を行っていましたが、「資料だけでは伝わりづらいのではないか」「自社で教育動画を作った方がいいのではないか」という議論が始まっていました。私たちも教育の動画化には賛成でした。しかし、懸念されたのが運用の継続性です。労働災害が発生した直後など、モチベーションが高い時期はいいのですが、労災が減ってきたときに、誰が動画を作り続け、メンテナンスできるのか。工場側に確認しても「ずっと継続してメンテナンスするのは厳しい」という声もあり、自社制作ではない、別の手段を模索し始めました。
3. 選定理由:ラキールの助言「3分の集中力」への納得感と直感
――数あるサービスの中で、LOMを選んだ決め手は何だったのでしょうか。

平野氏:
2024年7月の労働安全衛生展でたまたまラキールのブースを見つけ、直感的に「これじゃないか」と感じました。その際、ラキール担当者の方から言われた「人間の集中力は3分程度しか持たない」という言葉に非常に腹落ちしたんです。これまでは網羅的な教育資料を作ろうとしていましたが、短尺で要点を伝える方が現場には浸透しやすいと確信しました。
また、実写の動画だと挟まれ・巻き込まれなどの凄惨な事故シーンは衝撃が強すぎて直視できないことがありますが、LOMは映像理論に基づいたアニメーションならではの表現で、印象を残しつつも見やすさを保っており、高い抑止効果が期待できる点もメリットでした。上司に報告した際も「自社でメンテナンスし続けるのは難しい。これなら継続できる」と即座に導入が決まりました。
4. 導入のプロセス:本社での実績作りから、工場・グループ会社への波及
――全社展開にあたって、どのように進められたのでしょうか。
廣田氏:
最初は本社のスタッフ部門から導入しました。いきなり各工場へ展開しても、具体的な活用イメージや効果が持続するか分からないうちは、現場に定着しにくい懸念があったためです。まずは自分たちで効果を検証し、確信を持った上で推奨していくというステップを踏みました。1本3分という手軽さや、アニメーションゆえの見やすさを自分たちで実感した上で、9月から本格的な展開を開始しました。
その後、定期的な安全監査で各工場を回る際に「こういうツールがある」と紹介したところ、主要工場が次々と手を挙げました。さらに子会社の日本農薬でも導入が決まりました。
5. 活用状況:拠点ごとの自主性を重んじた「バラバラ」の運用が正解
――現在はどのような体制で運用されていますか?
平野氏:
国内5工場で活用し、今年4月からはグループ会社の日本農薬、ニチノーサービスでも導入しました。当社の特徴は、工場ごとに作る製品も人員構成も異なるため、あえて使い方は統一せず各拠点にお任せしている点です。管理者が必須テーマを選定している工場もあれば、食堂のスタッフにまでアカウントを配っている工場、個別受講とグループ受講を併用している工場など、非常に多様です。
例えばある工場では、各部署の監督者が独自のコンテンツリストを作成し、現場に即した細分化された教育を行っています。別の工場では、視聴後にイントラネットの掲示板へ感想を書き込む「リフレクション(振り返り)」を促すなど、現場が自発的に使いやすい形を模索しています。
6. 導入後の変化:アンケート4.09点。現場で広がる「気づきの共有」
――導入後、従業員の方々の反応はいかがですか?
廣田氏:
ある工場で、協力会社を除く全従業員を対象に「現在の労働安全活動に関する評価と意見の聴取」というアンケートを実施しました。その結果、活動全体に対して5点満点中4.09点という非常に高い評価を得ることができました。他の項目と比較しても非常に高い評価でした。こうしたポジティブな反応の背景には、今回導入した動画教育の効果も大きく、従業員からは「動画がわかりやすくて印象に残りやすい」「視覚・聴覚から情報が入るため効果的」「隙間時間で視聴できる」といった肯定的な意見が圧倒的です。日勤で日々パソコンが使える社員などは、興味のあるテーマを自分で探して視聴し、知らなかった知識を積極的に取り込もうとするなど、モチベーションの向上も見られます。
また、視聴後に内容を振り返り、自分の言葉でアウトプットする習慣も定着しつつあります。KYT(危険予知トレーニング)と同様に、危険事例を現場で思い出すきっかけになるという声もあり、現場で自分の作業に落とし込んで考えるための有効なツールになりつつあります。
7. 今後の展望:非定常作業の事故を防ぐ「機械安全」教育への挑戦
――今後の活用展望について教えてください。
平野氏:
今、私たちが最も注力すべきと考えているのが「非定常作業」における事故防止です。定常作業の手順化は進んでおり、以前に比べ手順の不備による事故は減りました。しかし、突然の故障対応や詰まりの解消といった非定常な場面では、手順通りの作業ができなくなり、モーターの回転部への巻き込まれなどの重大な事故に直結してしまいます。これを防ぐには、機械の危険源を理解する「機械安全」の教育が不可欠ですが、本来2日間かかるような膨大な研修内容を現場全員が受講するのは困難です。そのため、そのエッセンスを3分動画に凝縮したものをLOMで展開することで、全従業員に「安全の原理原則」を浸透させられないかと考えています。
また、運用面での課題も見えてきました。一人で動画を視聴し、自主的にスキルアップに取り組める層と、まだ受動的な姿勢に留まっている層とで、差が出始めていると感じています。この「後者」に対して、どのように積極的な関与を促せるかが今後の課題です。先日、LOMのユーザー会にも出席させていただきましたが、他の導入会社様の事例を勉強させていただきながら、より良い活用方法を模索していきたいと考えています。
廣田氏:
従来の教育は、KY活動の図解やコンプライアンス関連の動画視聴が中心でしたが、LOMを導入し、800以上もの多様なテーマから自由に選べるようになり、教育の幅が大きく広がったと感じています。小規模な事業所だけで使うよりも、全社で使うことで教育コストも割安になりましたので、この有益な教材を全社員でしっかり活用していきたいと思います。




