指差呼称は、労働安全教育の中でも重要な項目の一つです。指差呼称を徹底することで、意識向上によるヒューマンエラーの防止に寄与するといわれています。今回は、指差呼称の概要から効果、教育方法までご紹介します。

「指差呼称(しさこしょう)」は、労働安全教育の中でも重要な項目の一つです。指差呼称を徹底することで、意識向上によるヒューマンエラーの防止に寄与するといわれています。
今回は、指差呼称の概要から効果、教育方法までご紹介します。

指差呼称とは

指差呼称とはどのようなものなのでしょうか。その歴史と共に概要、やり方をご紹介します。

指差呼称とは、危険予知活動の一環として行う行動です。これから作業する目の前の対象となるものや、標識や信号、計器類等に作業者が指さしを行い、その指さししたものの名称と状態を声に出して確認することを「指差呼称(しさこしょう)」といいます。「ゆびさしこしょう」とも呼ばれることも多いです。

指差呼称の歴史

指差呼称が普及したきっかけは、日本国有鉄道の蒸気機関車の機関士が実施していたことにあるといわれています。当時、運転していた機関士は目が悪いことが理由で、機関助手に何度も信号の確認を、指差呼称同様の動作にて行わせていました。それを見た機関車課の上司が賞賛し、ルール化したといわれています。現在では鉄道業のほか、航空業や運輸業、建設業、製造業等、安全確認が重要な幅広い業界で行われています。

指差呼称のやり方

指差呼称のやり方をご紹介します。

  • ①対象をしっかり目視する

  • ②声に出しながら対象を指でさす

  • ③さした指を耳元へ戻す。

  • ④「ヨシっ!」と発声しながら右手を振り下ろす。

1.対象をしっかり目視する。

2.声に出しながら対象を指でさす。
対象を指でさします。そのとき、声に出しながら行います。何を言うかは対象項目や現場によって異なります。例えば機械の停止を確認するときには「スイッチOFF ヨシ!」、頭上の安全を確認するときには「頭上 ヨシ!」などが一例です。
動作としては、右手の指でさす場合、右腕を真っすぐに伸ばし、対象から目を離さず、人差し指で対象をしっかりと指さします。指をさす際の指の形は、右手のこぶしをにぎり、親指を中指にかけた「縦拳」の形から、人差し指を真っ直ぐに突き出すと、指さしが引き締まるとされています。

3.さした指を耳元へ戻す。
右手の指でさしたら、右の耳元まで戻しながら、確認事項が本当に正しいか、本当に合っているかを心の中で反すうし、再確認します。

4.「ヨシっ!」と発声しながら右手を振り下ろす。
確認できたら、「ヨシっ!」と発声しながら、対象に向かって右手を振り下ろします。
 
この一連の動作は、右手でさす場合は左手を腰に当て、背筋をピンと伸ばした姿勢で行い、一つ一つの動作はキビキビと行うことが推奨されています。また発声した声は、きちんと自分の耳で聞くことも重要です。

声を出さず指さし確認だけにとどめたり、腕、指の動作を怠ったりすると、効果が落ちるとされています。

指差呼称の効果

指差呼称には、どのような効果が期待できるのでしょうか。

指差呼称は、腕や口の周りの筋肉の刺激や、耳で聞くことによる聴覚への刺激により、脳の前頭前野が活性化する結果、思考や判断、意識、注意力、集中力向上といった効果が期待できます。

特に重要なのは、意識レベルを上げ、確認の精度を向上させることにあります。
財団法人(現、公益財団法人)鉄道総合技術研究所が1994年に、指差呼称の効果検定実験を行ったところ、鉄道運転時に必要な「操作ボタン」の押し間違いの発生率が、指さしと呼称を「共に行った」場合は、「共に行わなかった」場合に比べ、約6分の1という結果になったといいます。

また、 2010年には「確認作業に「指差し呼称」法を用いた時の前頭葉局所血流変動の比較」という研究論文を広島大学大学院保健学研究科から、発表されています。論文では医療事故発生要因の確認・観察の怠慢、誤判断を回避する作業法としての指差し呼称法の有効性の検証実験を行っており、与薬の準備段階において、記載された事項の確認方法として、「指差し呼称」の有効性があると結論付けています。

もちろん、指差呼称だけでヒューマンエラーの根絶ができるわけではありませんが、この実験から、指差呼称は、「意識レベルを上げ、確認の精度を向上させる有効な手段」であるといわれています。


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指差呼称の意味:無意識を意識に変える

指差呼称においては、指をさしたり、声を出したり、耳で聞いたりすることによって、無意識をなくすことに意味があります。人は慣れた作業になると、無意識の状態でも動作を続けることができるので、もし異常な事態が発生したときや、危険が生じた際にも同様に動作を続けてしまうのです。

人間の意識レベルを5段階のフェーズに分けた「フェーズ理論」によると、対象を指で差し、声に出して確認することによって、意識レベル「フェーズⅢ」の脳が活発に動き、思考が前向きな状態になります。
指差呼称では、意識レベルをフェーズⅢに上げ、集中力、確認の精度を向上させることも目的とした行為とされています。

例えば、鉄道の運転開始時には、信号を確認すると同時に、周囲の安全も確認する必要があります。そのとき、なんとなく信号が変わったからといって発車してしまうと、周囲に異物があるのに気付かず発車してしまうこともあります。そこに指差呼称を行うことで、無意識を意識に変えることができます。もちろん指さし動作を行って声を出すことにさえ、人はやがて慣れてしまいます。その慣れを防ぐために、指差呼称をするときにも、大げさに動作を行ったり、声をできるかぎり大きくしたりすることも重要です。

指差呼称の教育例

ここで、指差呼称にまつわる労働安全教育の効果的な教育例を見ていきましょう。

看板で指差呼称推進

ある建設業の企業では、クレーン作業時の指差呼称推進のために、看板に指差呼称を呼びかけるメッセージを掲げて見える化しています。これにより、労働者へ意識的に指差呼称を行うことを促すほか、繰り返し労働者の目に入ることで、指差呼称実施のすり込みも可能です。

指導者層に科学的根拠を交えて効果を周知する

指導者層には、指差呼称の効果について、科学的根拠を周知した上で教育に臨ませているという例もあります。これにより、より根拠に基づいた指差呼称の教育が可能です。

動画でのアニメーションによる動作説明

ただ口頭やテキストでの説明だけでなく、指差呼称の動作や声の出し方などは動画を用いて説明することも一つの方法です。従来のポスターやイラスト、標語の掲載といった教育法では、実施する目的や効果までは理解できません。動画で動作説明をすることにより、一つひとつの動作の意味が分かるので、労働者は実践しやすくなり、記憶にも定着しやすくなります。

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指差呼称にはあらゆる教育方法がありますが従来のポスターやイラスト、標語の掲載といった教育法では、実施する目的や効果までは理解できません。そうした課題を解決するのが、ラキールの労働衛生教育動画サービスです。動画で動作説明をすることにより、一つひとつの動作の意味が分かるので、労働者は実践しやすくなり、記憶にも定着しやすくなります。こちらにサンプル動画がございますので、アニメーションを活用した教育動画の分かりやすさをぜひ体感してみてください。
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まとめ

指差呼称は、すでに多様な現場で取り入れられており、定着している方法ですが、その意義や効果はあまり知られていないこともあるのではないでしょうか。
今回ご紹介した内容を、ぜひ従業員教育のヒントにしていただければと思います。また、その効果的な教育手法として、「LaKeel Online Media Service」をぜひご活用ください。

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