食品衛生責任者を設置する際には、講習を受けさせる必要があるけれど、どのような資格なのか、またその講習の内容や受講方法などが分からず、調べている方もいるでしょう。
そこで今回は、食品衛生責任者とは何かということや、その講習や受講方法、食品衛生責任者になるメリットをご紹介します。
食品衛生責任者とは
食品衛生責任者とは、食品衛生法に定められた規則に従って、飲食店や食品製造業などの食品営業施設において衛生管理の中心の役割を担う、食品衛生責任者資格を持つ人のことを指します。
この食品衛生責任者は、食品衛生法第51条に基づく「公衆衛生上必要な措置の基準」により、営業を行うすべての食品取扱施設に設置が義務付けられています。
食品衛生責任者が施設で具体的に行うことは、食品衛生上の危害発生防止対策が必要なシーンにおいて、営業者に対して改善するよう働きかけることが一つに挙げられます。
さらに、施設内で働くスタッフの衛生教育や訓練を実施することも重要な役割といえます。
自身も、保健所等が行う講習会を定期的に受講し、最新の食品衛生情報を入手し、関連法に改正があれば対応するなどの役割が求められています。
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食品衛生責任者の資格を取得するには
食品衛生責任者になるには、さまざまな方法があります。
まず、食品衛生監視員または食品衛生管理者になる資格要件を満たす人は、食品衛生責任者になることができます。
具体的には、以下の資格保有者は講習会を受講しなくても食品衛生責任者になることが可能です。
- 調理師
- 製菓衛生師
- 栄養士
- 船舶料理士
- と畜場法に規定する衛生管理責任者
- と畜場法に規定する作業衛生責任者
- 食鳥処理衛生管理者
- 食品衛生管理者又は食品衛生監視員の資格要件を満たす者
もし上記のような資格を取得していない場合でも、食品衛生責任者養成講習会に参加し、講習を修了すれば資格を取得できます。
食品衛生責任者講習の内容
食品衛生責任者講習では、食品衛生に関する一般的な情報から関連法規、食中毒予防の知識など、基本的な食品衛生に必要な内容を講習で学びます。
東京都の場合は一般社団法人東京都食品衛生協会が講習を実施しており、受講内容は以下の通りです。
※記載内容は2023年12月時点の情報となります。
食品衛生学(2.5時間)
■主要な食中毒、健康被害及び食品事故並びにその原因(微生物、自然毒、化学物質・汚染物質、異物等)
■食中毒等の発生を防止するための基本的な対応
・施設・設備の衛生管理(5S(整理、整頓、清掃、清潔、習慣)を含む。)
・基本的な食品の取扱い(食中毒予防の3原則を含む。)
・食品取扱者等の衛生管理(感染症の予防対策を含む。)など
食品衛生法(3時間)
■食品衛生法の全体像
■自主的な衛生管理に関すること
営業者の責務(衛生管理計画及び手順書の作成、食品取扱者等への周知、衛生管理の実施状況の記録及びその保存並びに衛生管理の検証)
一般衛生管理及びHACCPに沿った衛生管理の基準
小規模事業者等による手引書の活用方法 等
■自主回収報告制度に関すること
■営業規制に関すること(許可、届出、施設基準)
■その他食品衛生関連法規に関すること など
公衆衛生学(0.5時間)
■環境衛生
■労働衛生 など
確認試験
■講義の理解度及び知識の定着度を確認するための試験
食品衛生責任者講習の受講方法
※記載内容は2023年4月時点の情報となります。
食品衛生責任者講習は、どうすれば受講することができるのでしょうか。
受講方法と講習会の申込先は、各自治体によって異なるため、各自治体で講習会を実施している機関を見つけます。
例えば、東京都であれば、一社団法人東京都食品衛生協会が講習会の実施を担っています。大阪府であれば、公益社団法人大阪食品衛生協会が行っています。いずれも、各協会経由で講習会に申し込んで受講します。
受講形態も自治体によって異なります。例えば東京都は会場型とeラーニング型があります。会場集合型養成講習会は、講習会場に来場し、養成講習会を受講するスクール形式の講習会です。一日の講習会をすべて受講すれば、最後に修了証を受け取ることが可能です。
eラーニング型養成講習会は、自身のパソコンやスマートフォンなどからインターネット経由で動画等を視聴することで、必要な知識などを習得する学習形態です。30日以内にオンラインで受講修了後、受講基準を満たせば修了証が受け取れます。
会場型とeラーニング型、どちらを選ぶかは受講者や施設によって異なりますので、適した受講方法を選ぶことをおすすめします。
食品衛生責任者になるメリット
食品営業施設の従業員が、食品衛生責任者になるメリットとしては、主に次の3つが挙げられます。
衛生管理が適切に行える
食品衛生責任者になれば、施設の衛生管理を正しい専門知識を持って適切に行うことができるようになります。
例えば、施設やその周辺は清掃を徹底して清潔にするのはもちろん、虫やねずみなどの駆除を適切に行えます。また原材料についての品質や鮮度、表示などの確認と管理、製造販売する食品の安全性確認のための、細菌検査や食品添加物の検査が適切に行えるようになります。
従業員の衛生教育が適切に行える
従業員の衛生教育も適切に行えるようになります。講習会を実施するほか、日常業務における手指の消毒法などの実技指導や、作業開始前の服装チェックなども適切に実施できます。
従業員の健康管理が適切に行える
従業員に対して、健康管理を行うことも重要な食品衛生責任者の役割です。もし従業員に腹痛、下痢、発熱、化膿創などがあるときは、直接食品に触れない部門に配置するなどの措置が行われます。また食中毒菌の定期的な検便も実施することで、健康管理はもちろん、食品安全の実現にもつながります。
食品衛生責任者講習の注意点
食品衛生責任者講習の参加資格は学歴や職歴に関係なく誰でも受講することができます。
ただし、自治体によって年齢制限が定められており、満15歳以上や満17歳以上など制限年齢が異なることがあります。
また、年齢を満たしていても「現役の高校生は受講できません」としている自治体や、「学生(高校生を含む)は営業施設の食品衛生責任者として勤務するために直ぐに受講が必要である場合に限る」としている自治体など、対応は様々です。そのため該当する自治体の受講条件を満たしているかを確認した上で講習の申し込みをする必要があります。
また、オンラインでの受講の場合、受講修了証の交付に数日かかる場合があるため、受講修了証が必要な日付に対応できるように余裕を持ったスケジュールで受講できるとよいでしょう。
まとめ
食品衛生責任者は、食品取扱施設の食品衛生管理の責任者としての役割を担う重要な資格です。
食品衛生責任者になった後も、資格保有者としての役割を果たすために、学習したことを日々の職場で実践していくことが必要です。さらに、自らより深い知識を身につけていくことで、より食品衛生管理の質が高まっていくでしょう。
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