働く人々の健康と安全を守るための取り組みは多岐にわたりますが、その中でも全国労働衛生週間は特に大きなキャンペーンの一つです。毎年、多くの企業がこの週間を通じて労働衛生に関する意識を高めるための様々な活動を実施しています。しかし、その詳細についてはよく知られていないかもしれません。全国労働衛生週間とはどのような目的で、どのような内容を実施するのでしょうか。今回は、全国労働衛生週間の概要から全国安全週間との違い、実施すべき内容までご紹介します。

全国労働衛生週間とは?

全国労働衛生週間の概要から確認していきましょう。

全国労働衛生週間とは?

全国労働衛生週間とは、毎年10月1日から10月7日に厚生労働省と中央労働災害防止協会が主唱者として実施される労働衛生に関するキャンペーンで、労働者の健康管理や職場環境の改善など『労働衛生』に関する意識を高め、職場の自主的な労働衛生活動を促し、労働者の健康を確保することを目的として実施される1週間のことを指します。
全国労働衛生週間の効果を高めるため、毎年、9月1日から9月30日がその準備期間として設定されています。

令和5年度は「目指そうよ二刀流 こころとからだの健康職場」をスローガンに、全国各地でさまざまな広報活動や行事などが実施されました。

全国労働衛生週間と全国安全週間との違い

全国労働衛生週間と聞くと、全国安全週間と似ているため、どのように違うのか気になる方も多いのではないでしょうか。全国労働衛生週間と全国安全週間との違いを確認しておきましょう。

全国安全週間とは?

全国安全週間とは、同じく厚生労働省と中央労働災害防止協会が主唱者として実施される労働災害防止活動の推進を図るためのキャンペーンで、労働安全衛生に関する意識を高め、労働災害を防止することを目的として実施される1週間のことを指します。

毎年7月1日から7月7日に実施されており、6月1日から6月30日がその準備期間に当てられています。

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全国労働衛生週間と全国安全週間との違い

全国労働衛生週間と全国安全週間は、文字面が似ているため混同しやすいですが、さまざまな違いがあります。主な違いをご紹介します。

・目的の違い
まず目的が異なります。

全国安全週間が「労働災害防止」に主眼が置かれているのに対し、全国労働衛生週間は「労働衛生意識と管理の向上」に主眼が置かれている点が大きな違いです。

【参考】「労働安全(安全)」と「労働衛生(衛生)」の違い
「労働安全(安全)」と「労働衛生(衛生)」の言葉の違いを確認しておきましょう。

「労働安全」は職場における事故や怪我、災害を防ぐための対策や管理を指して使われる言葉です。主な取り組みとして、安全パトロールやヒヤリハット報告、KY活動などの活動が挙げられます。

安全パトロール:職場を巡視し、危険がある場所を見つけて機械設備や作業方法などを防止する活動。

ヒヤリハット報告:仕事中に「ヒヤッとした」「ハッとした」など、危ないことが起こったものの、幸い、災害には至らなかった事象を報告し合い、潜む危険や予防策を話し合う活動。

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ヒヤリハットとは?意味やヒヤリハットの活かし方をご紹介

KY活動:危険予知活動のこと。職場風景を描いたイラストシートをもとに作業に潜む危険要因を洗い出し、対策を講じる活動。

一方で、「労働衛生」は労働者の健康と安全の確保に関する研究および実践活動を指します。具体的には、作業環境管理、作業管理、健康管理、総括管理と労働衛生教育などの活動が挙げられます。

作業環境管理:作業環境管理とは、作業環境中の有害因子の状態を把握して、できるかぎり良好な状態で管理することを指します。作業環境中の有害因子の状態を把握するためには、作業環境測定が行われます。

作業管理:作業管理とは、環境を汚染させないような作業方法や、有害要因のばく露や作業負荷を軽減するような作業方法を定めて、それが適切に実施させるように管理することを指します。改善が行われるまでの間の一時的な措置として保護具を使用させることなどもこれに含まれます。

健康管理:健康管理とは、労働者の健康状態を健康診断により直接チェックし、健康の異常を早期に発見したり、その進行を防止したり、さらには、元の健康状態に回復するための医学的及び労務管理的な措置をすることを指します。最近では、労働者の高齢化に伴って健康を保持増進し労働適応能力を向上することも健康管理で要求されるようになってきています。

労働衛生教育:作業者が安全で衛生的な作業を遂行しながら、労働災害や作業者の健康障害などを防止するために行われる教育のこと。

総括管理:作業環境管理、作業管理、健康管理、労働衛生教育の体制構築や計画策定などを行うこと。労働衛生管理を統括する。

・開催時期の違い
全国安全週間が毎年7月1日から7月7日までに行われるのに対し、全国労働衛生週間は毎年、10月1日から10月7日まで行われています。

・開始年の違い
全国安全週間のほうが全国労働衛生週間よりも長く行われています。全国安全週間は昭和3年(1928年)に開始し、令和6年(2024年)で第97回を迎えます。全国労働衛生週間は昭和25年(1950年)に開始し、令和6年(2024年)で第75回を迎えます。

全国労働衛生週間の実施内容

全国労働衛生週間には、企業は職場でどのような活動を行う必要があるのでしょうか。令和5年度の実施要項をもとに、実施すべき内容をご紹介します。

概要

令和5年度開催時には、近年の労働者の高齢化の進行により、一般健康診断の有所見率が上昇を続けているほか、何らかの疾病を抱えながら働いている労働者が増加していることが指摘されました。また女性の就業率が高まっていることから、働く女性の健康問題への対応も課題となっています。また、高齢化に伴い、転倒などの労働者の作業行動に起因する労働災害が高い発生率となっていることも大きな問題であると指摘されました。これらの状況を受け、労働者の健康管理や治療と仕事の両立への支援をさらに推進していく必要性が増しています。

準備期間に実施する事項

準備期間の9月1日から9月30日に実施する事項として、次の重点事項をはじめとして、日常の労働衛生活動の総点検を行うことが示されています。

・過重労働による健康障害防止対策
時間外労働などの削減やワークライフバランスの推進などを行います。

・職場におけるメンタルヘルス対策
心のケアを行うための産業医に相談しやすい環境づくり、ストレスチェック制度の適切な実施などを指します。

・職場における転倒・腰痛災害の予防対策
高齢者の転倒・腰痛災害を予防するリスクアセスメント(危険性・有害性を特定してリスクを見積もり、提言措置を実施すること)やリスク低減対策の実施などを差します。

・化学物質による健康障害防止対策
特定化学物質障害予防規則等の特別規則を遵守し、リスクアセスメントに取り組みます。

・石綿による健康障害防止対策
建築物等の解体・改修工事における石綿ばく露防止対策の徹底と対策などを行います。

・職場の受動喫煙防止対策
実態把握と受動喫煙防止対策として教育啓発や喫煙室の設置などの支援制度の活用などを指します。

・治療と仕事の両立支援対策
治療と仕事が両立できるよう相談窓口の設置や休暇・勤務制度などの整備を指します。

・職場の熱中症予防対策の推進
暑さ指数WBGT値の測定と熱中症リスクの評価、適切な熱中症予防策を行います。

・テレワークでの労働者の作業環境、健康確保
「自宅等においてテレワークを行う際の作業環境を確認するためのチェックリスト【労働者用】※」を活用した作業環境の確保や改善等を行います。

※厚生労働省「自宅等においてテレワークを行う際の作業環境を確認するためのチェックリスト【労働者用】」
https://www.mhlw.go.jp/content/000755113.pdf

・小規模事業場における産業保健活動の充実
産業医や産業保健師などの活用、ストレスチェックの実施などを含みます。

・女性の健康課題への取組
女性の健康問題の理解促進、専門的研修の受講などを指します。

実施者が全国労働衛生週間中に実施する事項

本期間の10月1日から10月7日に行うべきこととして、次のことが示されています。

  • 事業者または総括安全衛生管理者による職場巡視
  • 労働衛生旗の掲揚及びスローガン等の掲示
  • 労働衛生に関する優良職場、功績者等の表彰
  • 有害物の漏えい事故、酸素欠乏症等による事故等緊急時の災害を想定した実地訓練等の実施
  • 労働衛生に関する講習会・見学会等の開催、作文・写真・標語等の掲示、その他労働衛生の意識高揚のための行事等の実施

本期間中には、職場巡視を行い、改めて危険要因を見つけながら改善策を講じる行動が重要になってきます。またスローガンを職場全員で共有し、表彰を行って取り組みへの意欲を喚起することも大切な取り組みです。また実地訓練などの緊急時の備えも重要になってくるほか、講習会や見学会、イベントなど従業員が学ぶ機会や意欲を向上させる機会を設ける好機会です。本週間を有効活用しましょう。

まとめ

全国労働衛生週間の概要と実施内容をご紹介しました。全国労働衛生週間の取り組みが実を結ぶには、日頃の労働安全衛生教育が重要です。なぜなら、管理者や労働者が自ら健康や安全への意識が高く、予防策を「知っている」状態であれば、より労働衛生活動の成果が出やすいと考えられるためです。

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