これから職長教育を実施する必要のある建設業や製造業などの方は、そもそも職長とはどのような職種なのか、職長教育の目的や受講内容などについて気になっているのかもしれません。そこで今回は、職長の業務内容や職長教育の目的や受講内容をご紹介します。
職長教育とは
職長教育とは、職長やその他の作業現場において労働者を直接、指揮監督する人に対して行う必要がある安全衛生教育です。新たにこれらの職務に就く人が出れば、事業者は教育を受けさせる必要があります。
職長とは、労働安全衛生法によれば、現場において作業員を直接、指導監督する人のことを指します。ここでいう現場とは、主に建設業や製造業などの作業員が作業をしている場所のことを指します。
そして建設業・製造業のほか、計6業種において新たに選任する職長に対しては、職長教育を12時間実施することが労働安全衛生法で義務付けられています。
※労働安全衛生法施行令の改正によって、令和5年4月1日から、職長等に対する安全衛生教育が必要となる業種に、食料品製造業(すでに対象であったうまみ調味料製造業及び動植物油脂製造業を除く)、新聞業、出版業、製本業、印刷物加工業が新たに加わりました。
※記載内容は2023年4月時点の情報となります。
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安全衛生責任者との違い
職長教育と安全衛生責任者教育の大きな違いは対象業種です。前述のとおり、職長教育の対象業種は建設業、製造業、電気業、ガス業、自動車整備業、機械修理業、食料品製造業(うまみ調味料製造業及び動植物油脂製造業を除く。)、新聞業、出版業、製本業及び印刷物加工業です。一方で安全衛生責任者は建設業と造船業の2業種のみです。なぜこのような違いが出るかというと、安全衛生責任者は複数の請負会社が入る現場で統括安全衛生責任者との連絡や調整を行うのが主な作業になるため、複数の請負会社が入るような業種・現場において必要になる教育だからです。しかし、実際は職長と安全衛生責任者を兼務するケースもあるため、それぞれを統合した「職長・安全衛生責任者教育」として開催されていることもあります。
※記載内容は2023年10月時点の情報となります。
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職長の業務内容
職長は、どのようなことを行うのでしょうか。その主な業務内容をご紹介します。
先に述べた通り、職長は、労働者を直接指導監督する立場にあります。そのため、リーダーとしての役割を担い、主に現場の安全衛生や品質管理、工程管理、原価管理、環境管理、働きやすい職場づくり、災害防止の取り組みなどを行います。
例えば、作業者全員が安全かつ効率よく作業ができるように、作業の手順とポイントになることを指導したり、定期に作業方法の見直しを行い、より良いものに改善したりすることが挙げられます。
さらに、人員の適正配置や教育指導、監督・指示といった教育も行っていきます。
時には安全衛生のための環境改善や点検、創意工夫を引き出すミーティングや報告会などを通じて、作業者全員の安全衛生意識とそのモチベーションを高めることも重要な役割です。
職長教育の目的
このような職長を担うには、あらかじめ教育が必要になります。その職長教育には、次のような目的があります。
安全衛生の水準を高めるため
それぞれの作業現場においては、作業者および環境の安全衛生の水準を高めることが必要です。その安全衛生の水準は、現場における職長の指導力や、環境整備などの対応に左右されるものです。そのため、職長のレベルを高めることは重要であることから、教育は欠かせないものとなっています。
労働安全衛生のため
職長教育の広い意味での目的は、労働安全衛生法第1条で規定されている「労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進する」ということにあります。つまり、現場の作業者が快適かつ安全に業務を遂行し、継続的に実施できるように、職長は常に労働安全衛生にまつわる管理・指導を行っていく必要があります。
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職長教育の受講内容とは
職長教育の講習内容は、労働安全衛生法第60条に基づき、厚生労働省の労働安全衛生規則第40条によって以下のように定められています。
※記載内容は2023年10月時点の情報となります。
(1)作業方法の決定および労働者の配置に関すること(2時間)
(2)労働者に対する指導および教育方法、監督および指導方法に関すること(2.5時間)
(3)危険性または有害性等の調査およびその結果に基づき講ずる措置、設備・作業等の具体的な改善方法(4時間)
(4)異常時、火災発生時等における措置に関すること(1.5時間)
(5)その他現場監督者として行うべき労働災害防止活動に関すること(2時間)
合計12時間となるため、日程は2日に分けて受講します。
受講内容には作業方法や教育方法といった作業にかかわることだけでなく、危険な作業の改善方法や労働災害の防止活動など、職長に必要になる幅広い内容を学習することができます。
それぞれのカリキュラムで具体的にどのような内容を受講するのか、主な受講内容をご紹介します。
作業方法の決定と労働者の配置
現場によって、適切な作業方法と人材配置は異なります。そのため、作業方法はどのような方法を取れば適切なのか、また労働者は誰をどのように配置するのが適切なのか、最も良い方法を選択するための方法を学びます。
労働者に対する指導・監督の方法に関すること
職長は現場で指導・教育を行う必要があることから、具体的にどのように行うのかを学びます。そして作業中において、安全衛生を確保しながら監督と指示をどのように行うのかを学ぶことも必要になってきます。
危険性や有害性などの調査と措置
現場ごとに存在する危険性や有害性などの調査を行う方法を学びます。さらに、その結果に基づいて、設備や作業などを具体的にどのように改善すれば良いのかという点も重要な学びといえます。
異常時・災害発生時における措置
現場で異常や災害が発生したときに、どのような措置を行うべきかを学びます。
労働災害防止活動
その他の労働災害防止のための活動について学びます。例えば、作業に必要な設備と作業場所の保守管理の方法や、労働災害防止に関して労働者の創意工夫を引き出す方法などを習得します。
また、職長教育を修了した人は5年後を目安に能力向上教育(再教育)を受けることが推奨されています。
職長教育の実施機関
※記載内容は2023年4月時点の情報となります。
職長教育は、日本全国の様々な機関で実施されており、会場での受講や出張講習などもできます。
ここでは実施機関をご紹介します。
日本全国の労働基準協会連合会で受講する
各都道府県の労働基準協会連合会では職長教育を開催しています。支部によっては職長・安全衛生責任者教育を実施していることもあります。
各協会で受講する
様々な協会でも職長教育の講習会を開催しています。例えば中小建設業特別教育協会や労働技能講習協会、建設業労働災害防止協会では建設業向けの職長教育を実施しています。また安全衛生マネジメント協会では製造業向けの職長教育を行っています。中央労働災害防止協会では対象を問わず職長教育を行っていますので、日程や対象に応じて受講機関を選ぶことができます。
企業や団体のWeb受講
様々な企業や団体ではe-ラーニング形式で職長教育をWeb受講することも可能です。
まとめ
職長教育は、職長が現場の労働安全衛生を指導・管理し、現場の安全衛生意識を高めるために欠かせない教育です。
職長教育を受講させる立場の方々にとって、まず職長として立派に育つことが重要ですが、その後の継続的な教育も重要です。職長の役割を果たすためには、学習したことを自ら積極的に実践していくことで、現場の職場の改善につながると考えられます。
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