労働災害は毎年発生しており、現場でも徹底した事故予防の対策と安全教育が求められています。
今回は、安全教育の概要や必要性を解説するとともに、製造業の労働災害発生状況や労働災害の事故が起きる原因と安全教育のポイントをご紹介します。

安全教育とは

安全教育とは、労働者の安全と健康を守るために必要な教育のことで、安全衛生教育とも呼ばれています。労働安全衛生法により事業者には次の3つの教育が義務付けられています。

・雇入れ時教育
・作業内容変更時教育
・職長等教育

また、以下の3つの教育も、実施する機会を与えるように努めなければなりません。

・安全管理者等労働災害を防止するための業務に従事する者に対する能力向上教育
・危険または有害な業務に従事する者に対する安全衛生教育
・健康教育

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しかし、法律で定められている安全教育以外にも、職場の安全教育を実施することで、労働災害を防止することができます。職場での安全教育の例は以下のようなものがあります。

・AEDの使用訓練
・熱中症の応急処置の訓練
・作業中の地震発生時の避難訓練
・消火器による消火訓練
・クレーン作業・玉掛け作業の実践訓練

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安全教育を行う必要性

安全教育は労働災害を防止するために必要な教育です。特に危険な業務に従事する労働者は、一つのミスが大きな事故に繋がりかねません。実際に作業する労働者自身が、作業時の危険性を理解して、十分に注意して作業を行うことが重要なのです。また、指導を実施する管理者も正しい知識を身に着けている必要があるので、管理者にも定期的な安全教育の実施が求められます。

作業中はいつ、どこで、どのような事故が発生するかわかりません。様々な状況に対応できるように日頃から安全教育を実施することで、正しい知識を保有することができ、事故の防止や事故発生時のスムーズな対応ができるようになるのです。

しかし、一度の教育で知識として定着させるのは難しいです。だからこそ、計画的に、繰り返し安全教育を実施するための年間計画や適切な環境を作っていくことが求められます。労働者一人ひとりの知識レベルや、経験値は異なるため、必要な時に必要な安全教育が行えるように、動画などのオンライン教材を利用した安全教育の実施も有効だと言えるでしょう。

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製造業の労働災害発生状況と事故事例

製造業の労働災害発生状況と主な事故内容、事故事例をご紹介します。

●製造業の労働災害発生状況

厚生労働省が発表した「令和3年 労働災害発生状況」によれば、2021年(令和3年)の製造業における労働災害による死亡者数は137人で、休業4日以上の死傷者数は28,605人、新型コロナを除くと26,424人でした。

死亡事故の型別では、機械等による「はさまれ・巻き込まれ」が最多で54人となり、全数に占める割合は死亡者で39.4%(137人中54人)、死傷者で22.7%(28,605人中6,501人)となりました。

死傷事故の型別では、「はさまれ・巻き込まれ」が最も多く前年よりも増加しており、それ以外にも「動作の反動・無理な動作」「転倒」による事故が増加しています。

製造業の業種別の割合を見てみると、死亡災害が最も多かったのは金属製品製造業で26人、次いで鉄鋼業の14人、食料品製造業の13人と続きました。
死傷災害が最も多かったのは食料品製造業で8,890人、次いで金属製品製造業の4,183人、化学工業の2,301人と続きました。

●製造業における過去の事故事例

・アルミサッシ製造工場
素材の梱包・出荷作業場にて、フォークリフトで移動させていた4段積みの金属製パレットの最上段が急ブレーキによって落下し、近くの作業員に激突して死亡しました。

・電気部品加工工場
作業員がプレス機械にて電気部品加工の作業中、下型に材料が残り、運転が停止したので取り出そうとしたとき、スライドが下降し、右手を挟まれて永久障害を負いました。このとき、光線式安全装置のスイッチを切っていました。

・食品製造工場
食品製造の包装工程で、作業員がベルトコンベヤーで流れてくる充填製品を監視中、充填製品が連なったまま流れてきたものを手直ししたところ、カッター部に手が触れて左手の第3指先端を切断しました。

製造業の労働災害〜事故が起きる原因は?

製造業の労働災害において、事故が起きる原因にはどのようなものが多いのでしょうか。

厚生労働省の「労働災害原因要素の分析(2013年)」によれば、製造業における労働災害の原因は「不安全状態」と「不安全行動」の重なり合いで発生しているものがほとんどであると分析されています。

「不安全状態」としては「作業方法の欠陥」が約半数の50.7%を占めており、「不安全行動」としては「誤った動作」が30.5%と最も多い結果でした。

製造業に必要な労働安全衛生教育のポイント

製造業の労働災害の原因を踏まえて、必要な労働安全衛生教育(以下、安全教育)の主なポイントをまとめました。

●事故が起きる原因に基づき安全教育を行う

製造業では「はさまれ・巻き込まれ」「転倒」「墜落・転落」「切れ・こすれ」「動作の反動・無理な動作」などの原因による労働災害が多いため、これらの労働災害を優先的に防止するための対策を徹底することが重要です。

●労働災害事例を示して注意喚起する

従業員に対して、職場にはさまざまな危険があることを労働災害の事例を通じて注意喚起することが大切です。現場で実際に生じ得る労働災害の事例を探して、安全教育に使用すると良いでしょう。

●「かもしれない」意識で危険を回避

機械や脚立など、労働災害が発生する恐れがある道具使用や環境下で作業する場合には、常に「かもしれない」意識を持つことが重要です。
例えば「ベルトコンベヤーは身体が巻き込まれるかもしれない」、「プレス機の安全装置が誤作動を起こして急に動き出すかもしれない」、「脚立やはしごが倒れるかもしれない」と考えます。これにより、不安全状態と不安全行動を回避し、災害防止につながります。

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●正しい服装

制服をきちんと着用することはもちろん、保護帽は正しくかぶり、あご紐をきちんと締めるなど、安全器具も正しく装着することが求められます。

●決められた作業手順

通常とは異なる手順で作業したり、工程を飛ばしたりすることで、不安全状態に陥ることもあります。常に決められた作業手順を徹底することが重要です。

●5Sの徹底

作業現場においては、整理、整頓、清掃、清潔、躾の5つのSを徹底することが、安全のためにも欠かせません。製造現場では、つまずいて転倒する災害も後を絶ちません。5Sが実施され、つまずくものがなければ防げる災害もあります。

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●異常状態が発生したときの対応

異常状態とは、職場における作業環境、作業設備、作業方法及び作業者の行動が「一定の基準からはずれた状態」を指します。
職長を中心に、異常の早期発見のための日常点検や、機械の故障時などの応急措置、上司・部下との「報・連・相」と教育訓練、再発防止・予防措置などを徹底することが重要です。

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まとめ

製造業における労働災害は深刻なものとなっており、一人でも死亡者と死傷者を減らすことが重要です。そのためには、安全教育の徹底は特に重要です。

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