労働安全衛生法では、労働者が就業中に生じる「労働災害」について規定されています。今回は、労働災害とは何か、労働災害の種類、手続き方法の概要、労働災害の防止策などを解説します。

労働災害とは?

労働安全衛生法では、労働災害の定義を「労働者の就業に係る建設物、設備、原材料、ガス、蒸気、粉じん等により、又は作業行動その他業務に起因して、労働者が負傷し、疾病にかかり、又は死亡することをいう。」と定めており、労働者が仕事中に何らかの事故に遭う、ケガをする、病気になる、亡くなることなどを指します。

事業主は、労働災害を防止する義務がありますが、万が一、労働災害が発生してしまった場合には、被災労働者への補償を行う義務があります。また死亡または休業については、労働基準監督署に報告する義務があります。

●労働災害の3つの種類

労働災害には、業務災害、通勤災害、第三者行為災害の3つの種類があります。

業務災害は業務が原因となって被った負傷、疾病、死亡を指し、通勤災害は労働者が通勤により被った負傷、疾病、死亡を指します。

第三者行為災害は、労災保険の給付の原因である事故が、第三者の行為などによって生じたものです。この場合、労災保険の受給権者である被災労働者または遺族に対して、第三者が損害賠償の義務を有しているものを指しています。例えば交通事故などの、いわゆる加害者がいる場合です。

●該当しないケース

労働災害に該当しないケースもあります。

例えば暴風雨等の自然災害は、基本的には業務と無関係な自然現象であるため、たとえ業務遂行中に発生したものであっても、労働災害としては認められない場合があります。しかし、条件によっては認められることもあり、一概には言えないため注意が必要です。

また通勤中であっても、移動の経路を逸脱し、または中断した場合には、通勤災害とはならないとされています。

これらはあくまで例ですので、いずれもケースバイケースで労働災害かどうかは変わります。

労働災害の給付内容

労働災害と認められた場合、被災労働者は補償を受けることができます。補償は次のような給付によって行われます。給付の種類は次の8つがあります。

1.療養(補償)等給付
「療養の給付」と「療養の費用の支給」があります。療養の給付は労災病院や労災指定病院などにかかった際に、原則として傷病が治癒するまで無料で療養を受けられるものです。療養の費用の支給は、労災病院や労災指定病院以外で療養を受けた場合などにおいて、その費用が支給されるものです。

2.休業(補償)等給付
療養のために休業した際に、賃金を受けない日の第4日目以降から支給される給付です。

3.傷病(補償)等年金
療養開始後、1年6ヶ月経過しても治癒せず、その傷病の程度が「傷病等級」の第1級~第3級に該当するとき、規定の日数分の年金が支給されるものです。

4.障害(補償)等給付
傷病が治癒したとき身体に一定の障害が残った場合に、障害の程度に応じて年金や一時金が支給されるものです。

5.遺族(補償)等給付
労働者が業務災害、複数業務要因災害または通勤災害によって死亡した場合に支給されるものです。

6.葬祭料等(葬祭給付)
労働者が死亡した際に、葬祭を行った人に対して支給されるものです。

7.介護(補償)等給付
傷病(補償)等年金または障害(補償)等年金を受給し、かつ、現に介護を受けている場合に、月を単位として支給されるものです。

8.二次健康診断等給付
労働安全衛生法に基づく定期健康診断などの結果、肥満、血圧、血糖、血中脂質の4項目すべてに異常の所見が認められた場合に、二次健康診断と特定保健指導を受けられるものです。

労働災害が発生したら?

万が一、労働災害が発生したときには、事業者はどのように手続きを行う必要があるのか、概要をご紹介します。また事業者である会社はどのような責任を負う必要があるのかも確認しておきましょう。

●手続き方法

まず、労働災害が発生した場合には、労働基準監督署へ災害発生の報告をし、労災保険給付の請求が必要です。労働基準監督署が必要な調査を行ったうえで、労災保険給付を受けることができます。

●会社が負う責任

労災事故が発生した場合、事業主は労働基準法により補償責任を負わなければなりません。しかし労災保険に加入している場合は、労災保険による給付が行われるため、事業主は労働基準法上の補償責任を基本的には免れます。

また刑事責任、民事責任、行政上の責任、社会的責任の4つの責任を負う可能性があります。

刑事責任:労働安全衛生法違反、業務上過失致死傷罪
民事責任:損害賠償
行政上の責任:作業停止・許可取消等の行政処分
社会的責任:企業のイメージ低下、存在基盤の喪失
労災についての不法行為・安全配慮義務違反といった債務不履行などの理由から、被災者などから民法上の損害賠償請求を受けることもあります。

また労働基準監督署にその労働災害を報告しなかったり、虚偽の報告を行ったりした場合にも、刑事責任が問われることがあります。さらには刑法上の業務上過失致死傷罪などに問われることもあります。

労働災害の防止策

事業主として、労働災害の防止策は日頃から徹底して行う必要があります。ここでは一般的な対策をご紹介します。

●職場の危険防止対策

職場で機械設備を使用した業務や火災・爆発の危険性のある物を取り扱う場合などには、あらかじめ事故や火災が起きない措置を取っておく必要があります。

●従業員の健康管理

従業員に対して、年に1回、定期健康診断を実施することが必要です。有害な業務に就かせる場合には、6ヶ月以内に1回、特殊健康診断を実施します。

●安全衛生管理体制の整備

常時50人以上の労働者を使用する事業場では、安全管理者、衛生管理者の選任が義務付けられています。
また、 従業員数10人以上50人未満の事業場では、安全衛生推進者または衛生推進者を選任し、危険防止の対策や教育、健康診断などの安全衛生の業務を担当させます。
その他、条件に応じて作業主任者の選任や、従業員の意見の聴取、従業員の意見を聞きながら安全衛生対策を進めることも求められています。

●労働安全衛生教育

従業員を雇い入れたときなどには、安全衛生のための教育として、機械や原材料などの取扱方法や作業手順、事故時における応急措置などを行います。

●自主的な安全衛生活動

ヒヤリハット活動、危険予知活動、リスクアセスメントといった自主的な安全衛生活動も重要です。

ヒヤリハット活動:作業中にヒヤリとした、ハッとしたが、幸い災害にはならなかったという事例を報告・提案することで対策を取ること。

危険予知活動:作業前に現場や作業に潜む危険要因と発生し得る災害について話し合い、危険意識を高めること。

リスクアセスメント:作業に伴う危険性や有害性を見つけ出して、除去・低減するための手法を考案して実施すること。

また、近年では労働災害の防止策として、IoT技術と結びついたウェアラブル端末やVR(バーチャル・リアリティ)、AI等の最新デジタル技術の活用をはじめ、最新の法令や国際規格に沿ったオンライン教材やLMS(Learning Management System)の導入、クラウドサービスを利用したメンタルヘルス対策など、労働安全についてもDX(デジタルトランスフォーメーション)が推進されつつあり、デジタル技術の導入が注目されています。しかし、たとえこのような技術が発展したとしても人の認識が変わらなければ意味がありません。技術系の発展と同時に安全に対する概念も変化しつつあります。ハード、ソフトの両輪で効率と安全のバランスを保ちましょう。

まとめ

日頃から労働災害を防止することは、事業者の重要な責務であり、会社のためにも重視、徹底する必要があります。
しかしながら、労働安全衛生教育は実施頻度や学習効果に課題を抱えている企業様も多いです。

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